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株式会社ファンペップ

2025-12-31 期・決算のやさしい解説
証券コード 4881 EDINET E32989 医薬品 会計基準 Japan GAAP 第三号様式
何の会社か
医薬品に属する上場企業(Japan GAAP基準)です。
何で稼ぐか

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社ファンペップ)及び子会社1社(株式会社ファンペップヘルスケア)により構成されており、医薬品等の研究開発事業を主たる業務としております。

上の文章は有価証券報告書の事業内容から抜き出した説明です。この会社がどんな商品やサービスでお金を得ているかを見る入口として使います。

数字の見どころ
売上 314,000円/赤字(純利益 約-19億円)

主要な数字連結・当期。カード下の細字は生の金額(円)。

売上高・営業収益
314,000円
314,000円
営業利益
約-16億円
-1,648,668,000円
純利益
約-19億円
-1,911,527,000円
総資産
約20億円
1,980,860,000円

ビジネスモデル図解誰に何を届け、どこでお金が動くかを一枚で見ます。

1分でわかる会社のしくみ 医薬品・研究開発、資源・素材、機械・設備で、製品収入・提携収入・開発関連収入など、商品代・サービス料などを得る。

株式会社ファンペップは、医薬品に属する会社です。主に医療機関・患者・提携先企業に向けて、研究開発、医薬品、提携を提供します。お客さん側には「治療や医薬品の選択肢を増やしたい」という困りごとがあります。そこで会社は、元データで読み取れる事業を

誰に医療機関・患者・提携先企業・商品・サービスを使う個人・会社
何を医薬品・研究開発・資源・素材・機械・設備・小売・EC
お金製品収入・提携収入・開発関連収入など・商品代・サービス料など

ビジネスの全体像

何を届け、誰に使われるかを大まかに見る。

まず全体像
👥
株式会社ファンペップ
中心になる会社
🧪
医薬品・研究開発
提供するもの
⛏️
資源・素材
必要に応じて支える
👥
医療機関・患者・提携先企
使う人・買う人
❓
主な困りごと治療や医薬品の選択肢を増やしたい
💡
会社の解決策研究開発、医薬品、提携

どこからお金が入る?

収益ごとに「提供するもの → 使う人 → お金の入口」で見る。

お金の入口
会社が渡すもの
使う人
お金の入口
🧪
医薬品・研究開発
会社が渡すもの
👥
医療機関・患者・提携先企業
使う人・買う人
¥
製品収入・提携収入・開発関連収入など
お金の入口
⛏️
資源・素材
会社が渡すもの
👥
商品・サービスを使う個人・会社
使う人・買う人
¥
商品代・サービス料など
お金の入口
🎁
機械・設備
会社が渡すもの
👥
商品・サービスを使う個人・会社
使う人・買う人
¥
商品代・サービス料など
お金の入口
🏬
小売・EC
会社が渡すもの
👥
商品を買う個人・会社
使う人・買う人
¥
商品代・サービス料など
お金の入口

🧪 医薬品・研究開発

製品収入・提携収入・開発関連収入などが入る。

⛏️ 資源・素材

商品代・サービス料などが入る。

💰 機械・設備

商品代・サービス料などが入る。

🏬 小売・EC

商品代・サービス料などが入る。

お金の流れ売上100%を基準に、利益がどれくらい残るかを見ます。

売上
314,000円(売上比 100.0%)
営業利益
約-16億円 / 比率は取得できず
純利益
約-19億円 / 比率は取得できず

棒の長さは、売上を100%としたときの実額比です。大きく見せるための誇張はしていません。

やさしい決算解説有価証券報告書と抽出済みの数字だけを使った説明です。

事業の内容

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社ファンペップ)及び子会社1社(株式会社ファンペップヘルスケア)により構成されており、医薬品等の研究開発事業を主たる業務としております。

上の文章は有価証券報告書の事業内容から抜き出した説明です。この会社がどんな商品やサービスでお金を得ているかを見る入口として使います。

有価証券報告書の原文を読む

3【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社ファンペップ)及び子会社1社(株式会社ファンペップヘルスケア)により構成されており、医薬品等の研究開発事業を主たる業務としております。

当社グループは、医薬品等の研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの情報は記載しておりません。

なお、「(*)」を付している用語及び出所については、「3 事業の内容」の末尾に用語解説及び参考文献を設け、説明しております。

当社グループの事業系統図は、以下のとおりであります。

<当社グループの事業系統図>

(注)1.研究開発・販売権等のライセンス契約を締結する前に、その契約締結に対するオプションを付与するオプション契約を締結する場合もあります。

2.株式会社メディパルホールディングスとの提携契約に基づき、抗体誘導ペプチドプロジェクトから創出した医薬品候補を製薬会社に導出した際には、当社グループは同社に対し「利益分配金」として、製薬会社から受け取る契約一時金及び開発マイルストーンの一部を支払う予定であります。

当社グループは、大阪大学大学院医学系研究科の研究成果である機能性ペプチドの研究開発を進め、医薬品分野で実用化することを主な事業としております。事業内容の詳細は以下のとおりであります。

(1)技術シーズの起源

① 「機能性ペプチド」とは?

ペプチドとは、アミノ酸2~50個程度が結合した物質であります。一般的に、50個以下のアミノ酸が鎖状に結合した物質をペプチドと呼び、それ以上の数のアミノ酸が結合した物質をタンパク質と呼んでおります。

ペプチドの中には、生体内等で機能を発揮するものがあり、「機能性ペプチド」と呼ばれています。機能性ペプチドは、医薬品、化粧品及び食品等の幅広い事業分野で実用化されています。

例えば、生体内のペプチドには、体内の器官の働きを調整するための情報伝達を担うホルモン等(インスリン(*)、グルカゴン、カルシトニン等が含まれます)があり、タンパク質のように生体内で機能を担っております。これらのホルモン由来の機能性ペプチドは、がんや糖尿病領域の医薬品として発売されております。また、タンパク質の分解過程で生じるペプチドが機能を持っていることもあり、血圧降下ペプチド等の特定保健用食品等の食品分野や、スキンケアやヘアケア商品として化粧品分野で利用されています。

<機能性ペプチドを利用した主な医薬品及び食品>

分野

領域

機能性ペプチド

売上高

医薬品

糖尿病

インスリン製剤(ホルモン関連)

1兆3,666億円(注)1 (世界、2024年度)

がん他

ゴセレリン(ホルモン関連)

1,042百万ドル(注)2 (世界、2024年度)

リュープロレリン(ホルモン関連)

640百万ドル(注)2 (世界、2024年度)

食品 (特定保健用食品)

血圧降下

イワシペプチド、ラクトトリペプチド、 ワカメペプチド、ゴマペプチド他

―

(注)1.Novo Nordisk社のInsulin sales DKK 55,373 million。

(2025年末の為替レートを参考に1DKK=24.68円で換算しています)

出所:Novo Nordisk社「Annual Report 2024」

2.出所:Citeline「Biomedtracker」(March 2025)

② 技術シーズの起源

当社グループの技術シーズの起源は、大阪大学大学院医学系研究科における新規血管新生因子の探索研究により同定されたAG30(angiogenic peptide 30)であります。AG30は30アミノ酸からなる機能性ペプチドで、血管新生作用を持っており、更に、抗菌活性を併せ持つ創薬シーズであります。

当社グループの研究者は、機能性ペプチドAG30を起源とし、そのペプチドを構成するアミノ酸の一部を置き換える検討を重ねることで、目的とする機能が増強したペプチド「SR-0379」、新しい機能が付与されたペプチド「AJP001」及び多機能の活性を示すペプチドの特定の機能が消失しているペプチド「キュアペプチン」などの機能性ペプチドを見出しました。

(A)SR-0379

SR-0379は、AG30を起源とし、生体内安定性や製造コストを改良し、医薬品として最適化を図った20個のアミノ酸からなる機能性ペプチドであります。SR-0379は、血管新生や肉芽(*)形成促進を主たる作用とし、抗菌活性を併せ持った皮膚潰瘍治療薬として日本で開発が進んでおります。

(B)AJP001

AJP001は、AG30を起源とし、アジュバント(*)機能を増強した20個のアミノ酸からなる機能性ペプチドであります。当社グループは、AJP001を抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術として利用しております。

当社グループは、この創薬プラットフォーム技術を強みとして新規開発品を創出して研究開発パイプラインの強化を図っております。現在、先行開発品FPP003及びFPP004Xが臨床試験段階にあり、多数の様々な研究テーマが進行中であります。

(C)キュアペプチン

キュアペプチンは、AG30を起源とし、血管新生作用を持たず、幅広い抗菌活性を持つ機能性ペプチドとして最適化を図った20個のアミノ酸からなる機能性ペプチドであります。

キュアペプチン含有商品については、その抗菌活性を生かした化粧品分野への応用を検討しております。

(D)機能性ショートペプチド群

機能性ショートペプチド(*)OSK9/AAPは、AG30を起源とし、アンチエイジング機能(*)により最適化を図った短い機能性ペプチドで、株式会社アルビオンの化粧品(アンフィネス)に美容成分として配合されております(OSK9は株式会社アルビオンの登録商標、AAP(ダブルエーペプチド)は当社グループの登録商標です)。

当社グループの機能性ペプチド創生の経緯は、下記の通りであります。

AG30を起源として、機能性ペプチド「SR-0379」「キュアペプチン」、機能性ペプチドの一種である抗体誘導ペプチド「FPP003」「FPP004X」「FPP005」、更にショートペプチド群が創生されてきました。現在、更なる抗体誘導ペプチドの新規開発品の創出を図っております。

<技術シーズの起源>

(2)抗体誘導ペプチド

当社グループの創薬活動の強みは、新しいモダリティ(創薬技術)である抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術「STEP UP」を保有していることであります。このプラットフォーム技術にもとづき、多様な抗体誘導ペプチドを開発することによって社会に貢献していきたいと考えております。

抗体誘導ペプチドは、患者様の体内で「抗体」産生を誘導して治療効果を示すペプチド治療ワクチンであります。

先進国では高齢化社会を迎え医療財政問題が深刻化しておりますが、その要因の一つは、高額な抗体医薬品等の市場が拡大していることであります(後述の「抗体医薬品市場の推移」のグラフをご参照ください)。

当社グループは、高額な抗体医薬品に対して医療費を抑制できる代替医薬品として抗体誘導ペプチドを開発し、医療財政問題の解決に貢献することを目指してまいります。

<抗体誘導ペプチドの特徴>

◆ 薬剤費抑制により医療費を抑制して医療財政問題への貢献を期待できる

・抗体医薬品と違い、化学合成で製造可能な抗体誘導ペプチドは製造コスト抑制を期待できる

・既存の抗体医薬品と(ターゲットとなる標的タンパク質を阻害する)作用メカニズムが同じであることから、開発成功確率が高まり、多額な医薬品開発費用の抑制を期待できる

◆ 患者様の体内で免疫細胞が一定期間抗体を産生するため、投与頻度が少なく患者様の負担が少ない

◆ 既存の抗体医薬品を参考に、創薬プラットフォーム技術を用いて多様な標的タンパク質・疾患に対する抗体誘導ペプチドを順次創生していくことができるため、広範な製品群・疾患への適用可能性をもつ

◆ 高額な抗体医薬品では投与対象にならなかった患者層への適用範囲拡大も期待できる

① 抗体医薬品との違い

抗体医薬品は「体外で製造する抗体」であるのに対し、抗体誘導ペプチドは、元々生体に備わった能力を利用して「体内で抗体を産生させる」ペプチドであるため、製造コストを低く抑制することを期待できます。

また、抗体誘導ペプチドは、患者様の体内で免疫細胞が「抗体」を一定期間持続的に産生するため、薬剤投与頻度が少なく患者様の負担が少ないと考えられます。

「抗体」は、細菌やウイルス等の「外来の異物」を排除するために免疫細胞(B細胞)が産生する物質であり、元々生体内で産生されている物質であります。この細菌やウイルス等の「外来の異物」に対する生体内の抗体産生能力を利用した薬剤が感染症予防ワクチンであります。

「抗体」は、標的となる物質に対する特異性が高いため、有効性及び安全性が高い抗体医薬品として実用化されており、従来型医薬品では十分な効果等が得られなかった難治性疾患の治療に活用されております。しかし、多くの抗体医薬品の標的タンパク質は生体内に存在する「自己タンパク質」であるため、免疫寛容(*)という仕組みによって生体内では抗体は産生されません。抗体医薬品は、分子量が約15万と大きく構造が複雑なタンパク質であるために、バイオ製造施設で生きた動物細胞を培養して製造する必要があり、設備、コストと手間がかかり製造コストが高くなります。

これに対し、抗体誘導ペプチドは、患者様の体内で標的タンパク質(自己タンパク質)に対する「抗体」を産生するように設計したペプチドワクチンであります。抗体誘導ペプチドは、化学合成で製造可能なペプチド(分子量数千)であり、投与後は体内で免疫細胞(B細胞)が「抗体」を一定期間持続的に産生するため、製造コストを抑制することが期待されます。

<抗体医薬品と抗体誘導ペプチドの違い>

② 創薬プラットフォーム技術「STEP UP」

多くの抗体医薬品、抗体誘導ペプチドの対象疾患は慢性疾患であり、標的タンパク質は「自己タンパク質」であります。通常、「自己タンパク質」に対して抗体は産生されませんが、抗体誘導ペプチドは、「自己タンパク質」に対して免疫反応を引き起こす役割を担う「キャリア」と、標的タンパク質の一部の短いペプチド(又は類似ペプチド)である「エピトープ」を結合することによって、標的の自己タンパク質に対する抗体を産生できるように設計しております。

当社グループの抗体誘導ペプチドプロジェクトの強みは、(A)「キャリア」に当社グループ独自の機能性ペプチド「AJP001」を使用していること、(B)標的タンパク質の特性(物理化学的性質、立体構造及び生物学的機能)に応じた「エピトープ」を設計・選定する技術ノウハウを有していることであり、当社グループは、これら2つの強みを合わせてプラットフォーム技術「STEP UP( S earch T echnology of EP itope for U nique P eptide vaccine)」と呼んでおります。

<プラットフォーム技術「STEP UP」>

(A)「キャリア」に使用する当社グループ独自の機能性ペプチド「AJP001」

抗体誘導ペプチドは、標的の「自己タンパク質」に対する免疫反応を引き起こす役割を担う「キャリア」を結合しております。

一般的に「キャリア」には、スカシガイ由来ヘモシアニン(KLH, Keyhole limpet hemocyanin)、ウイルス様粒子(VLP, Virus like particle)、破傷風トキソイド(TT, tetanus toxoid)及びジフテリアトキソイド(DT, diphtheria toxoid)等が使用されておりますが、これらの生物由来の「キャリア」には、下記の課題があります。

生物由来の「キャリア」の課題

◆ 標的タンパク質に対する抗体に加え、「キャリア」に対する抗体(薬剤に対する抗体)が誘導され、初回投与後の反復投与時に効果が減弱する可能性があること

◆ 製造上の品質確保(「エピトープ」と「キャリア」の縮合反応の制御等)の難易度が高いこと

◆ アレルギーやアナフィラキシー(*)のような期待しない免疫反応を引き起こす懸念があること

当社グループが「キャリア」として使用している機能性ペプチドAJP001は20アミノ酸(分子量約3千)であり、生物由来のキャリア(分子量は数万~数百万)と比較して分子量が相対的に小さいものの、「キャリア」として機能することが確認されており、これらの課題を解決することを期待しております。

(B)「エピトープ」を選定する技術ノウハウ

「エピトープ」は、抗体が認識する、免疫反応の対象となる物質(以下、抗原といいます)の一部のことであります。抗体は抗原と結合するとき、その抗原全体を認識するわけではなく、抗原の比較的小さな一部分のペプチド(通常6-10アミノ酸程度)のみを認識して結合します。このペプチドがエピトープと呼ばれています。通常、1つの抗原には多数のエピトープが含まれております。

抗体誘導ペプチドに用いる「エピトープ」は、多数ある候補ペプチドのうち、標的タンパク質の機能を阻害して治療効果が期待される「エピトープ」を選択する必要がありますが、当社グループは、大阪大学との共同研究等によって、標的タンパク質の特性(アミノ酸の物理化学的性質、立体構造及び生物学的機能)に基づき、治療効果が最も期待される「エピトープ」を選択する技術ノウハウを保有していることが強みであります。

(ご参考)抗体誘導ペプチドの作用メカニズム - 免疫寛容を回避する仕組み -

抗体誘導ペプチドが抗体産生を誘導するメカニズムの概要は前述の通りですが、ここでは医薬分野の専門知識をお持ちの投資家の方々に向けて、専門用語を用いた補足説明をいたします。

生体内で抗体が産生するためには、B細胞が抗原(標的タンパク質)を認識し、更にヘルパーT細胞からの刺激によってB細胞が活性化する必要があります。しかし、自己抗原(自己タンパク質等)に対しては、ヘルパーT細胞が活性化しないため抗体が産生されません。

抗体誘導ペプチドは、ヘルパーT細胞を活性化するT細胞エピトープを含んだ「キャリア」に、B細胞が認識する「エピトープ」(B細胞エピトープともいいます)を結合し、標的の自己タンパク質に対する抗体産生を誘導するように設計しております。

抗体誘導ペプチドの作用メカニズム

◆ 生体内に投与された抗体誘導ペプチドは、樹状細胞に取り込まれ、抗体誘導ペプチドを取り込んだ樹状細胞は、T細胞エピトープ(抗体誘導ペプチドの「キャリア(AJP001)」部分)をMHCクラスIIに提示します。そして、これを認識するAJP001特異的ヘルパーT細胞が活性化します。

◆ 一方、B細胞はB細胞受容体を介してB細胞エピトープを認識し抗体誘導ペプチドを取り込みます。抗体誘導ペプチドを取り込んだB細胞は、T細胞エピトープ(AJP001)をMHCクラスIIに提示します。樹状細胞により活性化されたAJP001特異的ヘルパーT細胞がAJP001を提示しているB細胞を活性化します。活性化されたB細胞は増殖しB細胞エピトープ特異的な抗体を産生します。この抗体が標的タンパク質に結合することにより阻害活性を示し治療効果を発揮します。

AJP001と他のキャリアとの違い

◆ 自己タンパク質に対する抗体を産生させる場合、生物由来のキャリア(スカシガイ由来ヘモシアニン(KLH)、ウイルス様粒子(VLP)、破傷風トキソイド(TT)及びジフテリアトキソイド(DT)等)を用いることが多いですが、これらのキャリアにはT細胞エピトープだけでなくB細胞エピトープも含まれるため、キャリアに対する抗体も産生されます。そのため、繰り返し投与するとキャリアに対する免疫誘導が強くなり、標的タンパク質に対する免疫誘導が減弱する可能性があります。一方、AJP001をキャリアとした場合、AJP001に対する抗体は産生されないため、標的タンパク質特異的に抗体産生を誘導することが可能です。

<抗体誘導ペプチドの作用メカニズム>

*1:MHC class IIは樹状細胞やB細胞などの抗原提示細胞に発現する。抗原を取り込んだ抗原提示細胞は、取り込んだ抗原をペプチドに分解しMHC class IIとの複合体としてT細胞に抗原提示する。

*2:B細胞では細胞膜上に発現する抗体分子が抗原受容体(B細胞受容体)として働く。B細胞はB細胞受容体に結合した抗原を取り込みヘルパーT細胞に提示し活性化され抗体を産生する。B細胞受容体が放出されたものが抗体である。

このプラットフォーム技術「STEP UP」を創薬活動の強みとして、当社グループは、AJP001と、様々な標的タンパク質(エピトープ)を組み合わせることによって、標的タンパク質IL-17Aに対する抗体誘導ペプチド「FPP003」、標的タンパク質IgEに対する抗体誘導ペプチド「FPP004X」及び標的タンパク質IL-23に対する抗体誘導ペプチド「FPP005」に続いて、様々な標的タンパク質に対する抗体誘導ペプチドを創生し、研究開発パイプラインの拡充を図ってまいります。

<抗体誘導ペプチドの開発パイプライン拡充>

③ 抗体誘導ペプチドの将来性

抗体誘導ペプチドは、抗体医薬品の代替医薬品として、既存の抗体医薬品を参考に多様な標的タンパク質ごとに開発品を創生し、様々な疾患に開発対象を順次広げていくことができ、広範な製品群、疾患への適用可能性があります。

更に、高額な抗体医薬品では投与対象外であった重症度の患者層や、対象疾患への適用範囲拡大も期待できます。

(A)抗体医薬品の代替医薬品

抗体医薬品市場は、2022年に前年比32%増加の28兆6,182億円に達しており、大幅な増加傾向が続いております。ターゲット市場は既に顕在化した市場であり、抗体誘導ペプチドは、既存の抗体医薬品を参考にして開発戦略を構築することができます。

<抗体医薬品市場の推移>

(出所)TPCマーケティングリサーチ社「2024年 世界の抗体医薬品市場」

抗体医薬品は、様々な標的タンパク質に対する製品が発売されております。当社グループは、標的タンパク質IL-17A(FPP003)、IgE(FPP004X)及びIL-23(FPP005)に対する抗体誘導ペプチドの開発を進めておりますが、創薬プラットフォーム技術を活用し、既存の抗体医薬品を参考にして様々な標的タンパク質に対する抗体誘導ペプチドの開発品を順次創出していくことが可能と考えております。例えば、下記の標的タンパク質に対する新規抗体誘導ペプチドを創生していくことを想定しております。

<抗体医薬品の主な標的タンパク質と対象疾患>

領域

主な標的タンパク質 (注)1

主な対象疾患

主要製品の

世界売上高

(2024年、百万ドル)

炎症

IL-17A 、 IgE 、 IL-23 、TNFα、

IL-12/23p40、IL-6、α4β7インテグリン、IL-4/13、IL-5、BLyS、IL-13、その他

関節リウマチ、尋常性乾癬、関節症性乾癬、強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、気管支喘息、慢性蕁麻疹、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)、アトピー性皮膚炎、その他

Skyrizi

Stelara

Humira

Cosentyx

Xolair

11,718

10,361

8,993

6,141

4,449

精神神経

α4インテグリン、CGRP、NGF (注)2 、アミロイドβ、タウ (注)2 、αシヌクレイン (注)2 、その他

多発性硬化症、片頭痛、疼痛、

アルツハイマー病、パーキンソン病、その他

Tysabri

Emgality Aimovig

1,715

977

620

骨

RANKL、スクレロスチン

骨粗鬆症、その他

Prolia

Evenity

4,653

2,038

循環器

PCSK9

家族性高コレステロール血症、

高コレステロール血症

Repatha

Praluent

2,232

764

その他

補体(C5)

発作性夜間ヘモグロビン尿症、その他

Soliris

2,588

(注)1.表中の標的タンパク質に対する受容体を含みます。

2.開発段階の抗体医薬品の標的タンパク質です。

(出所)主要製品の世界売上高は、Citeline「Biomedtracker」(March 2025)

既存の抗体医薬品は、様々な対象疾患の薬事承認を取得しており有効性及び安全性が証明されております。したがって、抗体誘導ペプチドの各開発品は、抗体医薬品の対象疾患を参考にして開発対象疾患を拡大していくことが可能と考えております。

例えば、FPP003の場合は抗IL-17A抗体医薬品を参考に、現在開発中の乾癬、強直性脊椎炎から関節症性乾癬、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎へ、FPP004Xの場合は抗IgE抗体医薬品を参考に、現在開発中の花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)から気管支喘息、慢性蕁麻疹へと対象を拡大することを想定しております。

抗体誘導ペプチドは、既存の抗体医薬品と同じ作用メカニズム(同じ標的タンパク質を阻害して対象疾患を治療するメカニズム)であることから、医薬品開発リスクを低減でき、さらに抗体医薬品の対象疾患を参考に開発対象疾患を広げていくことが可能と考えております。

<抗体医薬品の代替医薬品としての将来性>

(B)幅広い対象患者層への適用

抗体医薬品は治療効果が大きく副作用が少ないにもかかわらず、使用範囲が一部の重症患者に限定されております。その主要な要因は高額な薬剤費用ですが、抗体誘導ペプチドは、薬剤費用を抑制でき、その課題を解決して、現在は費用面が障害となって抗体医薬品の使用を控え他種類の薬剤が使用されている患者層や、価格面が障害となって抗体医薬品が開発されていない生活習慣病等の疾患への適用範囲拡大も可能と考えております。

a)高額な抗体医薬品が使用できない患者層

高額な抗体医薬品は、既存療法で効果が不十分な患者等、投与対象患者が一定の患者層に限定されております。抗体誘導ペプチドは、重症度が早期ステージの患者層など薬剤費用がハードルとなって使用できなかった患者層への適用範囲拡大を目指してまいります。

b)生活習慣病等の疾患への適用拡大

高血圧、糖尿病及び高脂血症等の生活習慣病に対しては、一般的に低分子医薬品が使用されております。これらの低分子医薬品は、連日投与の経口剤であります。しかし、生活習慣病は明確な症状がない場合が多く、また服薬管理を自ら行うことが難しい高齢者の患者が多いことから、服薬管理が良好な患者の割合は低い水準に留まっており、服薬アドヒアランス(*)向上が課題となっております(米国において実施された高脂血症治療薬の服薬状況の調査では25~40%(出所:Jackevicius et al.(2002)(*))。

抗体誘導ペプチドは、免疫細胞が一定期間抗体を産生して効果が持続するため、数カ月一回投与と投与間隔が長く患者様の負担が少なく、服薬アドヒアランス向上を通して生活習慣病を適正にコントロールし、心血管イベント等の合併症の発生を予防できる患者の割合が増えるものと考えられます。

当社グループでは、大阪大学との共同研究によって、高血圧や抗血栓を対象とする抗体誘導ペプチドの探索研究を進めております。

<幅広い対象患者層への適用>

抗体誘導ペプチドのように慢性疾患を対象とするペプチドワクチンは、当社グループのみならず海外企業によりアルツハイマー病やパーキンソン病を対象疾患として研究開発が行われております。

④ 抗体誘導ペプチドの開発パイプライン

現在、開発段階にある抗体誘導ペプチドは、標的タンパク質IL-17Aに対するFPP003、標的タンパク質IgEに対するFPP004X及び標的タンパク質IL-23に対するFPP005であります。

(研究開発パイプライン表は、「(3)研究開発パイプライン」をご参照ください。)

(A)FPP003

◇ 概要

FPP003は、標的タンパク質IL-17A(Interleukin 17A)に対する抗体誘導ペプチドであります。

IL-17Aは、免疫反応に関するサイトカイン(*)の一つであり、乾癬及び強直性脊椎炎等に関与していることが明らかになっています。

◇ 対象疾患

現在開発中の対象疾患は、尋常性乾癬及び強直性脊椎炎であります。

IL-17Aを標的タンパク質とする既存の抗体医薬品は、日米欧で尋常性乾癬及び強直性脊椎炎以外に、関節症性乾癬及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎等の薬事承認を取得しております。

当社グループといたしましては、抗体医薬品が使用されている幅広い患者様への貢献を目指してまいります。

◇ 開発状況

FPP003は、大阪大学との共同研究のもとで当社グループが同定した開発化合物であります。

当社グループがオーストラリアで実施した尋常性乾癬を対象とする第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験の結果において、FPP003投与症例の約8割(高用量コホート、陽性率78%(9例中7例))で抗IL-17A抗体(標的タンパク質IL-17Aのエピトープに対する抗体)の抗体価の持続的な上昇が確認されました。安全性に関しては、ワクチンで頻繁にみられる局所反応以外に特に臨床的に問題となるものはみられませんでした。

強直性脊椎炎に対する開発については、日本で医師主導治験として第Ⅱa相臨床試験が実施されました。本医師主導治験は、大阪大学大学院医学系研究科が採択された国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和3年度「難治性疾患実用化研究事業(2次公募)/希少難治性疾患に対する画期的な医薬品の実用化に関する研究分野」の研究開発テーマです。

◇ 技術導入状況

当社グループは、2018年8月に、大阪大学より、FPP003を含む抗体誘導ペプチドの独占的な実施権の許諾を受けております(対象の特許権は、大阪大学と当社グループの共同所有)。

(B)FPP004X

◇ 概要

FPP004Xは、標的タンパク質IgE(Immunoglobulin E)に対する抗体誘導ペプチドであります。

IgEは、アレルギー反応に重要な役割を果たしており、アレルギー性疾患の発症に関与しております。

◇ 対象疾患

現在開発中の対象疾患は、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)であります。

花粉症は、スギやヒノキ等の植物の花粉に対する過剰なアレルギー反応を起こすアレルギー疾患です。代表的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみなどです。

日本国内の全国疫学調査による有病率 i は、2019年に花粉症全体で42.5%、患者数の多いスギ花粉症で38.8%と高く、またそれぞれ10年前(2008年)と比較して10%以上上昇しています。花粉症を含むアレルギー性鼻炎の医薬品(内服薬)市場は約1,700億円(2019年) ⅱ です。

このため、政府は、国民病とも言われ、多くの国民を悩ませ続けている花粉症を社会問題として捉え、花粉症対策に取り組んでいます。

IgE(Immunoglobulin E)は、体内に入った異物を排除する働きを持つ抗体の一種で、花粉等の原因物質(アレルゲン)に結合するとアレルギー反応を引き起こします。FPP004Xは、免疫細胞に抗IgE抗体を一定期間産生させることから、各種アレルギー疾患に対する持続的な効果が期待されます。この特長を活かし、当社グループは、国民病と言われ社会問題となっている花粉症を第一の適応症として、花粉飛散前に投与することでシーズンを通して症状を緩和できる、患者様にとって利便性の高い新しい治療選択肢を提供することを目指しています。

i 松原 篤他. 鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年, 2008年との比較): 速報 -耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として-. 日耳鼻 2020;123:485-490.

ⅱ 花粉症に関する関係閣僚会議「花粉症対策(厚生労働省)」

◇ 開発状況

FPP004Xは、大阪大学との共同研究のもとで当社グループが同定した開発化合物であります。

本書提出日現在、第Ⅰ相臨床試験の段階にあります。

◇ 技術導入状況

当社グループは、2024年4月に、大阪大学より、FPP004Xの独占的な実施権の許諾を受けております(対象の特許権は、大阪大学と当社グループの共同所有)。

◇ 提携状況

当社グループは、2024年3月に、塩野義製薬株式会社との間でオプション契約を締結いたしました。

このオプション契約により、塩野義製薬株式会社は、当社グループが実施する臨床試験の結果等にもとづき、全世界における独占的研究開発及び商業化権を取得する権利を保有しております。その対価として、当社グループは、契約締結に伴う一時金、オプション権が行使された場合のライセンス契約の一時金、研究開発の進捗に応じた開発マイルストーン、販売額に応じた販売マイルストーン及びロイヤリティーを受け取る予定であります。

(C)FPP005

◇ 概要

FPP005は、標的タンパク質IL-23(Interleukin-23)に対する抗体誘導ペプチドであります。

IL-23は、免疫反応に関するサイトカインの一つであり、乾癬、クローン病及び潰瘍性大腸炎等に関与していることが明らかになっています。

◇ 対象疾患

現在開発中の対象疾患は、尋常性乾癬であります。

IL-23を標的タンパク質とする既存の抗体医薬品は、尋常性乾癬、関節症性乾癬、クローン病及び潰瘍性大腸炎等の幅広い疾患を対象に開発が進んでおります。

◇ 開発状況

FPP005は、大阪大学との共同研究のもとで当社グループが同定した開発化合物であります。

本書提出日現在、前臨床試験の段階にあります。現在、開発品プロファイルの向上を目指した改良化合物の探索研究に取り組んでおります。

本研究開発(IL-23を標的とした抗体誘導ペプチドの研究開発)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「研究開発型ベンチャー支援事業/橋渡し研究開発促進による事業化支援」の支援の成果に基づき実施しております。

◇ 技術導入状況

当社グループは、2023年3月に、大阪大学より、FPP005を含む抗体誘導ペプチドの独占的な実施権の許諾を受けております(対象の特許権は、大阪大学と当社グループの共同所有)。

⑤ 抗体誘導ペプチドの研究テーマ

抗体誘導ペプチドの探索研究は、大阪大学大学院医学系研究科との共同研究により実施しております。

抗体医薬品の代替医薬品として、片頭痛を対象とする抗体誘導ペプチドの研究を行っており、アンメットメディカルニーズが高い疾患のアルツハイマー病を対象とする研究も実施中です。更に生活習慣病の高血圧及び抗血栓を対象とする抗体誘導ペプチドの研究、熊本大学との共同研究により脂質異常症を対象とする抗体誘導ペプチドの研究、東京大学大学院医学系研究科が採択された国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究開発プログラムの研究テーマとして心不全を対象とする抗体誘導ペプチドの研究に取り組んでおります。住友ファーマ株式会社とは精神神経疾患を対象とする抗体誘導ペプチドの研究契約を締結し、製薬会社とのアライアンスのもとでの探索研究にも取り組んでおります。

新規開発化合物の探索研究と並行して、アジュバント技術を含めて強力な抗体産生を誘導する様々な製剤技術の研究にも取り組んでおります。2024年10月からは塩野義製薬株式会社と新規ワクチンアジュバントに関する共同研究を実施中です。(研究開発パイプライン表は、「(3)研究開発パイプライン」をご参照ください。)

◇ 提携状況

当社グループは、2018年3月に、大日本住友製薬株式会社(現住友ファーマ株式会社)との間で、精神神経疾患を対象とする抗体誘導ペプチドの研究契約を締結しており、これに基づき、同社が探索研究を実施しております。

[ 研究開発支援に関する提携 ]

当社グループは、2016年2月に、株式会社メディパルホールディングスとの間で抗体誘導ペプチドの研究開発に関する提携契約を締結しております。

これにより、当社グループは、契約時に一時金を受け取ったほか、2016年4月以降の3年間にわたって研究開発協力金を受け取りました。一方、その対価として、株式会社メディパルホールディングスは、当社グループが抗体誘導ペプチドプロジェクトから創出した一定数の医薬品候補(以下、「対象医薬品」という。)について、当社グループが導出先の製薬会社から受け取る契約一時金及び開発マイルストーンの一部を受け取るほか、当該医薬品の日本国内等の卸売販売について優先交渉権を取得する予定であります。利益分配等の対象医薬品については、これまでにFPP003、FPP004X及びFPP005が選定されております。

(3)研究開発パイプライン

当社グループの研究開発パイプライン表は、下記の図のとおりであります。

当社グループは、抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術「STEP UP」を強みとして、大阪大学との産学連携のもとで様々な対象疾患に対する抗体誘導ペプチドの探索研究を行い、現在臨床試験段階にあるFPP003及びFPP004Xを創出し、更に今後の新規開発品についても、抗体誘導ペプチドの多様な研究テーマから創出していく方針であります。

一方、AG30を起源とする皮膚潰瘍治療薬SR-0379は、大阪大学大学院医学系研究科及びアンジェス株式会社との連携のもとで創生された開発品であり、その後アカデミア主導の前臨床試験及び複数の医師主導治験が実施され、現在、塩野義製薬株式会社と当社グループの共同開発が進んでおります。

SR-0379は、高齢化社会を迎え益々重要性が増している褥瘡等の皮膚潰瘍治療において、今後拡大が見込まれる在宅医療でも取り扱いやすい簡便な使用法によって、幅広い患者様のQOL(Quality of Life、生活の質)に貢献できる薬剤として開発を進めてまいります。

<医薬品>

・ 開発品

(注)1.大阪大学大学院医学系研究科が採択された国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和3年度「難治性疾患実用化研究事業(2次公募)/希少難治性疾患に対する画期的な医薬品の実用化に関する研究分野」の研究開発テーマです。 医師主導治験(第Ⅱa相臨床試験)は、体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎)患者を対象に実施しております。

2.国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「研究開発型ベンチャー支援事業/橋渡し研究開発促進による事業化支援」の支援の成果に基づき、開発を進めています。

・ 研究テーマ

(注)東京大学大学院医学系研究科が採択された国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和5年度「ゲノム研究を創薬等出口に繋げる研究開発プログラム」の研究テーマです。

<化粧品等>

2024年8月に株式会社アルビオンからスキンケア化粧品シリーズ「アンフィネス」(リニューアル製品)、2018年3月に株式会社ファンケルから「マイルドクレンジングシャンプー」、2020年4月に株式会社SMV JAPANから「携帯アルコール除菌スプレー」等が発売され、当社グループの機能性ペプチドを含有する商品が販売されております。これらの商品販売に関し、当社グループは化粧品原料商社又は販社に対して機能性ペプチドを販売しております。

① SR-0379

◇ 概要

SR-0379は、AG30を起源とし、生体内安定性や製造コストを改良し、医薬品として最適化を図った20個のアミノ酸からなる機能性ペプチドであります。血管新生や肉芽形成促進を主たる作用とし、抗菌活性を併せ持っております。

皮膚潰瘍は、皮膚のバリア機能が欠損した状態にあり、創面には様々な細菌が付着しております。細菌増殖により感染状態になると創傷治癒が遅延し、更に敗血症により重篤な状態が生じる可能性があるため、細菌、感染のコントロールは重要であります。創傷治癒促進作用を持つ既存薬には抗菌活性はなく、SR-0379独自の強みであります。

<SR-0379の作用メカニズム>

SR-0379は、天然に存在する抗菌ペプチドと類似の構造的特徴を持つことから、抗菌ペプチドと同様の作用メカニズムで抗菌活性を示します。

皮膚や免疫細胞には「抗菌ペプチド」と呼ばれる20~40個程度のアミノ酸から構成される一群のペプチドが存在し、免疫防御機能の一翼を担っております。「抗菌ペプチド」は、プラスに荷電している親水性(*)のアミノ酸と疎水性(*)のアミノ酸が偏在するという構造的特徴により、細菌や真菌の細胞膜を破壊して抗菌作用を示します。SR-0379は、天然に存在する「抗菌ペプチド」と類似の構造的特徴を持つことから、同様の作用メカニズムで抗菌活性を示します。

<抗菌ペプチドの抗菌作用メカニズム>

SR-0379は、下記の表の通り、抗菌力を示す指標として最小発育阻止濃度MIC(Minimum Inhibitory Concentration)を用いた試験により細菌や真菌に対する抗菌活性が確認されております。MICとは、抗生物質の抗菌力を表す際に用いられる単位であり、薬剤により細菌や真菌が発育しない薬剤の最小濃度です。

<SR-0379の抗菌活性>

◇ 対象疾患

SR-0379の対象疾患は、皮膚潰瘍であります。皮膚潰瘍は、皮膚の組織が一定程度欠損した状態であります。

このような皮膚潰瘍の治療は、創傷治癒メカニズムを働かせることが重要であります。SR-0379は、「創傷治癒を遅延させる要因」である感染を防御及び予防する機能を備えた上で、「創傷治癒を促進する要因」の血管新生作用や肉芽形成促進作用等により創傷治癒を促進します。

皮膚潰瘍の患部に消毒剤を用いる場合には、その組織障害性から創傷治癒を遅延させることが懸念されますが、SR-0379にはその懸念がなく、抗菌作用により本来皮膚の持つ感染防御機能を補いながら、創傷治癒を促進させる新しいタイプの皮膚潰瘍治療剤として期待されます。

皮膚潰瘍には、寝たきりの高齢者に発生することが多い「褥瘡(じょくそう(いわゆる「床ずれ」))」、高齢者での有病率が高い糖尿病の合併症である「糖尿病性潰瘍」や主に静脈うっ血を原因とする「下腿潰瘍」等があり、高齢化社会を迎え皮膚潰瘍治療の重要性が増しております。

SR-0379は、今後拡大が見込まれる在宅医療でも取り扱いやすい簡便な投与方法(室温保存可能なスプレー剤)であり、幅広い患者様のQOLに貢献できる薬剤として開発を進めております。

◇ 開発状況

SR-0379は、日本での開発を進めております。

当社グループは、2021年6月から皮膚潰瘍患者を対象とする第Ⅲ相臨床試験(SR0379-JP-SU-01試験、以下、「01試験」という。)を実施いたしました。その結果、本試験の事後部分集団解析(潰瘍サイズ(長径×短径)36cm 2 未満)において、SR-0379群はプラセボ群と比較して、主要評価項目(*)(「外科的処置に至るまでの日数」)の統計学的有意な改善を確認することができました。安全性に関しては、治験薬と因果関係がある有害事象はなく、SR-0379の高い安全性が確認されました。本試験結果の詳細は、2024年7月5日公表の「機能性ペプチド「SR-0379」の追加第Ⅲ相臨床試験実施のお知らせ」をご参照ください。

当社グループは、上記の01試験で効果がみられた皮膚潰瘍患者(潰瘍サイズ(長径×短径)36cm 2 未満)を対象に、有効性の再現性を確認するための追加の第Ⅲ相臨床試験(SR0379-JP-SU-02試験、以下、「02試験」という。)の治験計画届を2024年12月にPMDAに提出して02試験を開始しております。

◇ 提携状況

当社グループは、2015年10月に、塩野義製薬株式会社との間でSR-0379のライセンス契約を締結しております。

日本での塩野義製薬株式会社との共同開発において、当社グループは第Ⅲ相臨床試験及び薬事承認申請を担当し、同社は治験薬製造(CMC)を担当する予定です。製品上市後については、同社が販売を担当し、当社グループが製品供給する予定であります。

この契約に基づき、当社グループは、契約一時金、開発マイルストーン、製品上市後には販売額に応じたロイヤリティー及び販売マイルストーン、製品供給に関する収入を受け取ります(契約一時金と一部の開発マイルストーンは既に受け取り事業収益に計上いたしました)。

◇ 技術導入状況

当社グループは、2015年3月に、アンジェスMG株式会社(現アンジェス株式会社)との間で現物出資契約を締結し、同社よりSR-0379の知的財産権を取得しております。

② その他の研究テーマ

当社グループは、2025年4月に独自のmRNA Display法に強みを持つ富士フイルム和光純薬株式会社との間で特定の標的タンパク質に対する特殊ペプチド創薬研究の研究委託契約を締結し、ペプチド技術を用いた次世代モダリティとして期待されている特殊ペプチド(非天然アミノ酸を含む環状ペプチド)創薬研究を進めております。

(4)ビジネスモデル

当社グループは医薬品及び化粧品分野等において事業展開しておりますが、ビジネスモデルの特徴については、現時点での事業計画に対して影響が大きい医薬品分野での事業展開を中心に記載しております。

① 大学発ベンチャーの役割

当社は大阪大学発の創薬系バイオベンチャー企業であり、当社グループは大学の研究成果を製薬会社への橋渡しに向けてインキュベート(研究開発を推進)する役割を担っております。この役割を担うため、当社グループは、大阪大学を始めとする大学等の研究機関との間で、共同研究等により連携を図り、大学の技術シーズを生かした基礎研究を実施しております。更に、当社グループは、開発品の開発規模(試験規模及び必要資金規模)を踏まえ、医薬品の研究開発プロセスのうち、基礎研究から一定段階の臨床試験や薬事承認までを実施して開発品の価値向上を図り、技術シーズのインキュベーションを行う方針であります。

<一般的な医薬品の研究開発プロセスの内容>

プロセス

期間

主な内容

基礎研究

2~3年

新薬候補化合物の探索(合成及び絞込み等)研究

前臨床試験

3~5年

実験動物等を用いて有効性及び安全性等を確認する試験

臨床試験

3~7年

第Ⅰ相

少数の健康な人を対象に安全性等を確認する試験

第Ⅱ相

少数の患者を対象に有効性及び安全性を探索的に確認する試験

第Ⅲ相

多数の患者を対象に有効性と安全性を検証的に確認する試験

申請・承認

1~2年

各国の規制当局による審査

(注)臨床試験開始前に実施する非臨床試験を前臨床試験といいます。

② 製薬会社との提携体制

医薬品の研究開発は期間が長く必要資金も大きいのが特徴であります。このため、当社グループは、研究開発の早期段階から製薬会社等との提携体制を構築し、その提携収入等により、研究開発遂行上の財務リスクの低減を図っていく方針であります。

一般的な提携形態としては、基礎研究段階では共同研究契約等、前臨床試験や臨床試験段階ではライセンス契約を締結して、製薬会社と当社グループの間で研究開発段階や商業化段階の役割分担と経済条件を決めます。また、ライセンス契約に先行して、その契約締結に対するオプションを供与するオプション契約を締結する場合もあります。当社グループの場合は、機能性ペプチドSR-0379は塩野義製薬株式会社との間でライセンス契約及び抗体誘導ペプチドFPP004Xは塩野義製薬株式会社との間でオプション契約を締結しており、抗体誘導ペプチドの研究開発に関しては、株式会社メディパルホールディングスとの間で研究開発支援契約、住友ファーマ株式会社との間で精神神経領域の抗体誘導ペプチドの研究契約を締結しております。

これらの提携体制のもと、当社グループの主な事業収益は、提携製薬会社等からの収入であり、医薬品の研究開発段階においては、契約一時金、研究開発協力金及び開発マイルストーン、販売段階においては、ロイヤリティー及び販売マイルストーン等を想定しております。当社グループは、現時点で事業収益に計上しているのは研究開発段階の収入のみであり、これらの収入により研究開発投資による財務リスク低減を図りながら研究開発を進めております。そして、当社グループ開発品が将来上市に至った場合に提携製薬会社から受け取るロイヤリティー収入等によって本格的な利益拡大を実現する計画であります。

<医薬品の開発プロセスと提携会社から受け取る一般的な収入>

<主な収入の内容>

収入名

内容

契約一時金

契約締結時に一時金として受け取る収入

開発マイルストーン

研究開発の進捗に応じて、事前に設定したイベントを達成した際に受け取る収入

研究開発協力金

研究開発を推進するために提携会社から受け取る収入

ロイヤリティー

医薬品販売後に、年間販売額に応じて受け取る収入

販売マイルストーン

医薬品販売後に、事前に設定した年間販売額を達成した際に受け取る収入

製品供給収入

製品供給の対価として得られる収入

③ 業務受託会社の活用

当社グループは、研究開発に従事する中で、当社グループが研究開発戦略を描いたうえで、製造及び研究開発に関する業務を積極的に外部委託しております。これらの業務委受託契約は、契約金額が大きく、かつ、単一の契約に支払条件や費用の発生パターンの異なる活動が数多く含まれるため契約内容が複雑になりますが、当該委託により、当社グループは、少人数制による低い固定費で研究開発を推進することができ、財務リスクの低減を図っております。

<用語解説> (50音順、アルファベット順)

用語

意味・内容

アジュバント

主剤の免疫反応を増強する物質のことです。ワクチン製剤に含まれます。

アナフィラキシー

アレルギーの原因物質が体内に入ることにより複数の臓器や全身に表れるアレルギー症状のことで、生命に危険が生じうる過敏な反応のことです。

アンチエイジング機能

機能性ショートペプチドOSK9は、線維芽細胞の増殖を促進し、ヒアルロン酸(肌への潤い)やコラーゲン(しわ取り)の産生を促進する作用が確認されております。

インスリン

膵臓から分泌されるペプチドホルモンのことです。血糖値を下げる働きをします。

サイトカイン

細胞から分泌され、細胞間相互作用に影響を与えるタンパク質のことです。

主要評価項目

臨床試験を実施するにあたり、主要な目的を評価するのに適した評価項目として設定されるものです。

ショートペプチド

ペプチドとは、アミノ酸2~50個程度が結合した物質であります。

当社グループは、アミノ酸が5~20個結合した短いペプチドのことを「ショートペプチド」と呼んでおります。

親水性

水に溶けやすいことです。

疎水性

水に溶けにくいことです。

肉芽

皮膚潰瘍が治癒する過程で形成される、赤く柔らかい粒状の結合組織のことです。

服薬アドヒアランス

医師との連携のもとで患者が治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることです。

免疫寛容

特定の抗原に対する特異的な免疫反応の欠如あるいは抑制状態のことをいいます。

免疫系は、自己抗原(自己組織や自己タンパク質等)を認識しないようになっており、これを自己免疫寛容といいます。

<参考文献> (50音順、アルファベット順)

松原 篤,他:鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年,2008年との比較):速報─耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として,日本耳鼻咽喉科学会,2020;123:485-490

Jackevicius CA, Mamdani M, Tu JV. Adherence with statin therapy in elderly patients with and without acute coronary syndromes. JAMA 2002;288:462–7.

The American Academy of Dermatology website.

“Psoriasis.”  https://www.aad.org/media/stats/conditions/psoriasis (Accessed August 2017)

会社概要

会社名株式会社ファンペップ
証券コード4881
EDINETコードE32989
業種医薬品
会計基準Japan GAAP
決算期末2025-12-31
提出日2026-03-24
書類種別第三号様式
抽出ステータスok

売上・利益の内訳当期の主要項目。数字の出どころは下の折りたたみで確認できます。

項目金額
売上高・営業収益314,000円 (314,000円)
営業利益約-16億円 (-1,648,668,000円)
経常利益/税引前利益約-16億円 (-1,633,572,000円)
純利益(親会社株主帰属)約-19億円 (-1,911,527,000円)
総資産約20億円 (1,980,860,000円)
純資産約15億円 (1,464,133,000円)
営業キャッシュ・フロー約-14億円 (-1,387,571,000円)
1株当たり当期純利益(EPS)-50.20円
数字の根拠(抽出元のXBRLタグ・コンテキスト)を開く
項目金額抽出元タグ / コンテキスト
売上高・営業収益314,000円 (314,000円)BusinessRevenueSummaryOfBusinessResults (extension-fallback)
CurrentYearDuration
営業利益約-16億円 (-1,648,668,000円)OperatingIncome
CurrentYearDuration
経常利益/税引前利益約-16億円 (-1,633,572,000円)OrdinaryIncomeLossSummaryOfBusinessResults
CurrentYearDuration
純利益(親会社株主帰属)約-19億円 (-1,911,527,000円)ProfitLossAttributableToOwnersOfParent
CurrentYearDuration
総資産約20億円 (1,980,860,000円)TotalAssetsSummaryOfBusinessResults
CurrentYearInstant
純資産約15億円 (1,464,133,000円)NetAssetsSummaryOfBusinessResults
CurrentYearInstant
営業キャッシュ・フロー約-14億円 (-1,387,571,000円)NetCashProvidedByUsedInOperatingActivities
CurrentYearDuration
1株当たり当期純利益(EPS)-50.20円BasicEarningsLossPerShareSummaryOfBusinessResults
CurrentYearDuration

欠損項目と理由

欠損なし(8項目すべて抽出)

出典: 金融庁 EDINET 提出の有価証券報告書(XBRL)
書類管理番号 (docID): S100XTDT / 提出日: 2026-03-24
数値・事業内容は上記XBRLからプログラムで機械抽出(生成AIによる創作なし)。

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